【共創の会ランチセッション】
再生医療のこれまでとこれから

「共創の会ランチセッション」は、Future Center Tokyo に参画しているトップマネジメントやリーダーの皆さんがランチタイムに集い、各社さまの取組みや、社会的に関⼼度の⾼いトピックについてプレゼンテーションをいただき、意⾒交換をする機会です。

今回は、株式会社ケイファーマ 代表取締役:福島弘明さんに、「再⽣医療のこれまでとこれから」をテーマにお話しいただきました。また、キーノートスピーチを通して、参加者とのフリーディスカッションも紹介します。

 

再⽣医療業界の動向とケイファーマの事業 〜iPS 細胞はいつ患者に届くのか〜

⼭中伸弥教授によるiPS 細胞発明で、分化誘導された各種細胞を移植する再⽣医療の検討が進み、臨床試験・治験が前進、また周辺産業の展開が加速されています。再⽣医療等製品等として既に約20 品⽬が承認されていますが、iPS 細胞由来の製品はこれからの段階です。また、疾患特異的iPS 細胞を⽤いた病態解明と医薬開発(iPS 創薬)が進み、難治性疾患を対象とする臨時試験・治療が進⾏しています。

なぜ、iPS 細胞が評価されるのか?〜臓器移植の現状と課題〜

⼀般的になぜiPS 細胞が評価されているのかというと、⼀つは臓器移植への転化です。⽇本では腎臓の病気を患っている⽅が30 万⼈いると⾔われていますが、国内で移植⼿術を受けている⽅は1,000 ⼈程しかいません。なぜ、こんなにも移植⼿術を受けている患者が少ないかと⾔うと、1.ドナー不⾜ 2.拒絶反応 3.⾼額 といった課題点があるからです。iPS 細胞は、こういった課題点を克服できるポテンシャルがあると評価されています。

ケイファーマ が⽬指す医療:再生医療を日本の産業基盤に

神経再⽣(神経損傷害、脳梗塞など)や、神経難病(ALS やAD など)に有効な薬剤の開発といった、アンメットメディカルニーズの充⾜が解決すべき課題に挙げられます。もちろん収益の面から⾒ると、患者数が少ない分野よりも多い分野を狙ったほうが良いとされていますが、「何のために薬をつくるのか」と考えたときに、「充たされていないところをどうにかしたい」というか気持ちが強かったのです。ケイファーマでは、iPS 細胞を活⽤した脊髄損傷や脳梗塞等の再⽣医療(細胞移植)と、疾患特異的iPS 細胞を活⽤した医薬品開発の⼆つに注⼒しています。我々は、再⽣医療が⽇本の産業基盤へと成長することを⽬指しています。

 

<参加者によるフリーディスカッション>

参加者:ALSの発症原因は遺伝的なものなのか、それとも後天的なものなのでしょうか。

福島氏:それが実は一番難しい質問だと思います。私たちは家族性と表現しているのですが、現在ALS に関係している遺伝子というのが40 個ほどあり、そこに遺伝子変異がある患者さんをいずれ発病する可能性が高いと我々は理解しています。そういった患者さんはALS が発病した患者さんの中の一割ほどで、残りの九割の方は全くそれらの遺伝子に関係のない人たちなのです。つまり、誰が発病するかは遺伝子レベルではなかなか特定できず、発病のメカニズムというのもまだ明確にはわかっていません。なので治療法に関しては、原因が遺伝的な部分であってもなくても、ということになります。

参加者:発病のメカニズムが不確定な状態で薬が開発できるのはすごいことですね。

福島氏:まさにその通りです。これまで製薬会社は、臨床研究に進む前にマウスやラットを使った動物モデルを使っていました。例えば、糖尿病の薬を作るには糖尿病性ラットを評価します。ところが、ラットモデルで薬が効いても臨床(ヒト)だと効かない例がほとんどなのです。今回のALS ではSOD という1%の家族性のものだけは評価モデルがありましたが、その結果と臨床の結果とがリンクしない可能性はわかっていたので、我々は患者さんの血液からiPS細胞を作製し、それを用いて候補化合物をスクリーニングする手法をとりました。動物モデルを挟まないで人に直接試せるということが、今回の最大の発見だったと受け止めています。

参加者:ALS の進行の特徴が様々ある中で、それらをどのように加味して治療薬を作っているのですか。

福島氏:今、我々が臨床試験で用いている評価指標は、 ALSFRS‒R という全部で12 項目各4段階から成るスコアです。手が上がる、階段を上がれる、言葉が出ない、目の動き、などといった項目を総合的に指標にして評価をしています。ですので特定の段階にフォーカスした薬というよりも、全身的な評価からアプローチした薬を開発しています。

 

今回は、再生医療という専門的な分野のお話でありながら、他分野の知見を持つ参加者からも複数質問をいただき、福島さんには丁寧に解説をいただきました。

ICMGとケイファーマの関わりに関してはこちらもご参照ください:

ICMG共創ファンド:再生医療技術やiPS創薬技術を駆使して 脊髄損傷をはじめとした難病治療に挑む、株式会社ケイファーマへ出資を実行

共創の会ランチセッションおよびFuture Center Tokyo では、今後もゲストをお招きし、参加者の皆様とのセッションを重ねながら、社会課題解決のための共創の場を提供して参ります。


<お問い合わせ先>

株式会社ICMG 広報担当
電話番号:03-6812-2548、080−4666−1726、070-7591-4347
Email:icm_info@icmg.co.jp

Please follow and like us!:
Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial