「リモート時代の共創人材育成プログラムについて」

「リモート時代の共創人材育成プログラムについて」

COVID-19の流行により移動やリアルな対面の機会が制限されています。一方で、事業における海外や日本の各地方との連携はこれまで以上に進むと考えられています。急速にリモート環境は進みましたが、これを如何に活用して、新たな時代に適応したビジネスリーダーを育成するのかということは企業にとって重要かつ切実な課題ではないでしょうか?
 
ICMGの人材育成プログラムもオンラインと集合研修を柔軟に組み合わせながら実施をしております。今回は、グローバル人材育成プログラムであるGlobal Leader Training(以下GLT)を例に、リモート時代の共創人材育成について考えてみたいと思います。
 
-GLT 第4期(2020年9月~2021年2月)-
リモート環境を前提に、日本、シンガポール、USA(シリコンバレー)、インドネシア、フィリピン、インド、バングラディッシュの全7ヶ国を結んで実施しました。GLTでは、複数の企業から派遣されたメンバーが、所属企業の枠を越えてインドネシア、フィリピンの2チームに分かれて、現地の課題に基づいた具体的なビジネスプランを検討。最終日には、各企業の経営幹部に対して事業提案を行いました。
 

リモートに切り替えたことでの3つ効果

リモート環境に切り替わったことで、3つの大きな効果がありましたので、ご紹介します。
1つ目は、ワンワールドの実現です。これは、誰がどこにいるのかという制約条件を越えて、世界中の誰とでもつながることができるということで、シリコンバレーのベンチャー経営者と会話した1分後に、今度はインドのビジネスパーソンと話をしているというようなシーンが何度も見られました。受講生が日本とシンガポールの二か国から参加したこともあり、常にオンラインでつながっている状態でもありました。
 

 
2点目は、ニューノーマルのコミュニケーションスキルを実感と共に身に付けることができたということです。オンライン会議では30分、1時間などと時間がキッチリと限られているので、より短時間で「自分は何者で、何を考え、何をしたいのか」をシンプルに伝える必要があります。こうした経験を積み重ねることは、思考のスピードや質の向上の面でも大きな成長をもたらす結果となりました。また、対面の雰囲気でなんとなく乗り切っていたことが通じず、いま伝えなければ、次の機会はないかもしれないという緊張感の中で、明らかに実践的な語学力(英語力)も向上しました。
 
3点目は、オンラインアプリケーションの活用が大幅に進歩したことです。リモート環境の中で、情報を効率的に共有し、議論し、コンセンサスを作っていくためにはホワイトボードアプリを活用したり、チャットやタスク管理などの各種のツールが使えなければ話になりません。副次的な効果に見られがちですが、リモート環境下では様々なツールを活用できることが、生産性はもちろん議論の質にも大きな影響を及ぼします。こうした様々なツールが、実務として積極的に活用されたことは大きな変化でした。
 
リモートの3つの効果まとめ

  1. 場所や時間の制約を越えたワンワールドの実現
  2. ニューノーマルのコミュニケーションスキルが身につく
  3. アプリケーションの活用による生産性の向上が進む

 
 

リモートで共創を行う上でのポイント

リモートについて考える前にそもそも「共創で大切なこと」は何でしょうか? GLTでは、それは大きく2つあると考えます。
 
1つは、「自らのビジョンを自分らしい言葉で語れること」です。自分が相手と実現したい絵を明確に共有することは、共創のプロセスにおいてはなくてはならないものです。もう1つは、「持っているものと持っていないものをクリアに切り分けできること」です。つまり、共創するうえで、自分たちが何を実現したくて、どんな価値が提供できるのか、また相手に何を提供して欲しいのかを明確に示す必要があるということです。
 
上記を抑えた上で、リモート環境における「共創」では、更に以下の3点がポイントになります。

  1. チーム力を高める力
  2. スピークアウトする力
  3. アンテナを立てる力

 
まず、「チーム力を高める力」です。創造的かつ成果を生み出すチームを作る上では、時には相手に言いにくいことをしっかりと伝えることも重要です。しかし、ただでさえ、こうしたコミュニケーションが苦手な上に、リモートで関係性が希薄な状態の中では、そのハードルはさらに高まることになります。
 
次に、「スピークアウトする力」です。経験があると思いますが、オンライン会議では相手の様子がわかりづらく、一人ずつしかしゃべれりにくいために、カットインすることが対面よりも難しくなります。さらに日本では発言の途中で話を切ることが失礼とされる傾向もありますが、欧米などではむしろ逆で、ただ聞いているだけで、良い案を提案しないことは怠惰であると捉えられてしまいます。
 
最後に、「アンテナを立てる力」です。リアルな情報を直接取得しにくいために、生々しい情報をどうやって収集するかが重要となります。この際のポイントは、「ライトパーソンにアクセスすること」と「リアルな情報を仕入れる力」です。ビジネスに必要な情報を持っている人は誰か? その人にどのようにアクセスするか? 必要な資料や写真をどう手に入れるか? それには明確な仮説を立てて、どういう情報が必要で、誰にどう聞けばその情報が手に入るかを事前に考えなければいけません。
 
今回のGLTのプログラムの中では、現地の小規模な個人商店にアクセスしたいけれど、どうしてもつながらないということがありました。そこで、小売りの手前である卸売の方にアクセスし、エンドの情報を仕入れると同時に、卸売り業からの見方を得ることで、多面的な現状理解が可能になりました。ビジネスのバリューチェーン全体を理解し、正しく示唆に溢れた情報にリーチすることに意を払わなければ、中途半端な情報に基づく中途半端なビジネスプランに終わってしまうことになります。
 

※フィリピンチームの最終提案
 
 

リモート時代の共創人材に求められる力とは?

共創人材に求められるのは、「自らの専門性を語れるということ」です。つまり、「自社が何をしているか」ではなく、「個人として提供できる価値が何なのか」ということを明確に述べられるような人材でなければ共創のスタートラインに立つことすらできません。議論するに足る人間と認知されなければ、共創のプロセスは始まることはありません。
 
もう一つ重要な点は、オンラインファーストで考えられる人材であることです。デジタルネイティブ世代はまずオンラインでできることを考えます。オンラインでできないことをオフラインで補うというように発想が逆転しています。この流れは、COVID-19で一層加速しています。
 
 

アフターコロナにどう対応していくべきか?

今回、リモートをフル活用してプログラムを実施した結果、これまで以上にシビアさが増しましたが、同時にそのシビアさを乗り越えた参加者の成長は目を瞠るものでした。最終的に海外での実地フィールドワークを実施した前回と比較しても遜色がない提案につながりました。グローバルトレーニングプログラムとして、リモートにはプラスの効果があったということができます。
 
一方で、リモートでの限界も見えてきました。海外での共創に関しては、一度も海外の経験がない参加者には非常に厳しかったという事実があります。0から1にするというところでは、やはりリアルでの体感が優れています。また、ビジネス仮説までは可能ですが、実際にPoCの段階に入りますと現地に赴くことは必須となってきます。
 
COVID₋19の影響で、今年もリモートの活用は大きく進んでいくと考えられます。私たちICMGは、リモートならではのよさと、リアルを上手に組み合わせながら、より参加者の成長に繋がるプログラム開発を続けていきます。みなさんもこれまでの試行錯誤の中で、こんな取り組みがうまくいった、これは失敗だったという経験をお持ちかと思います。そんな経験談もぜひお聞かせください。
 
共創人材の育成に興味をお持ちの方は、是非ご連絡ください。
 

※日本庭園を会場にしたセッション。シンガポールチームは海辺で。
 


Global Leader Training

グローバルなイノベーションの現場に接することで、これまでの常識にとらわれずに事業創造のできる人材を育成します。大きな特徴としては、シンガポールを訪れて最先端のイノベーションを体感すると共に、ICMGが連携するリアルなエクゼキューションを持った課題地域に対して新規事業のプランニングをして頂きます。
 
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株式会社ICMG 田中(d-tanaka@icmg.co.jp